懲戒解雇でも失業保険はもらえる!【ただし条件アリ】

退職した後に失業保険のような公的な社会制度を知らずに過ごしている人

もらえるものはもらっておこうという考えを持っている人

この2通りに分かれますが、あなたは前者ですか?後者ですか?後者であって欲しいです。

…早速結論ですが、やらかしてクビになっても失業保険はもらえます。

  • どれくらいの待機期間でもらえるのだろうか?
  • どのくらいの期間もらえるのだろうか?
  • どのくらいの金額をもらえるのだろうか?

本記事では失業保険のこのような疑問をひとつひとつ解説していきます。

また本記事には「重責解雇」という言葉が出てきますがこちらも合わせて解説していきます。

クビになっても再就職できるので人生諦めずに就活に力を入れることを念頭において過ごすことが大事ですよ

目次

失業保険とは?

失業保険は、雇用が失われた場合に一定期間、所得の一部を補填するための社会保険制度です。

労働者が働けなくなった際の経済的な不安を軽減し、次の職に就くまでの生活費や職業訓練を支援することを目的としています。

失業保険は一定の要件を満たした場合に受給が認められ、手続きを経て支給されるものです。

会社を退職しただけでは貰えないんです。自分で手続きをしないとダメなんだね

失業保険の受け取るための資格

失業保険を受け取るためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 加入期間: 一定期間(通常は12ヶ月)以上、失業保険に加入していたこと。
  • 解雇理由: 自己都合による解雇(例:退職、契約満了)の場合は、一定の要件を満たせば受給が可能です。解雇が自己都合ではなく、雇用者都合(例:リストラ、事業所閉鎖)によるものである場合は受け取りまでの期間に制限がかかります。
  • 求職活動: 失業保険を受給する期間中に、積極的に新たな雇用を求めていること。

これらの要件を満たす場合、失業保険の申請ができます。

ただし、重大な過失や不適切な行為が原因での解雇の場合、失業保険の受給が認められないことがあります。

通常の懲戒解雇の場合は、7日間の待期期間が終了した後に受給できますが重責解雇の場合は通常の7日間の待期期間が終了した後に更に3か月間の制限期間があります。

この期間を経過して失業の認定を受けたらはじめて給付が貰える仕組みになっています。 

解雇された場合の失業保険

懲戒解雇された労働者が失業保険を受け取る際の「受給期間」「受給額」について、通常の解雇と比較して直接的な制限はありません。

以下の表で比較してみましょう。

項目懲戒解雇通常の解雇
給付開始待機期間通常の7日間から3ヶ月に延長されることがある。通常の7日間
受給期間懲戒解雇自体は受給期間に影響しない。加入期間や年齢に基づいて決定される。
受給額懲戒解雇自体は受給期間に影響しない。賃金や雇用形態に基づいて決定される。
受給資格解雇理由が特に悪質な場合、受給資格を喪失することがある。基本的な要件を満たしていれば受給資格あり。
事前の改善措置や指導の必要性不要。懲戒解雇は労働者の重大な過失や不正行為が理由。能力不足や業務上の問題がある場合、改善措置が必要。

懲戒解雇と通常の解雇において、失業保険の取り扱いに違いがあることがわかります。

懲戒解雇の場合、給付開始待機期間が延長されることがあり、また特に悪質な理由での解雇によっては受給資格を喪失することがあります。

ただし、受給期間や受給額については、懲戒解雇自体が直接影響を与えるものではありません。

懲戒解雇と重責解雇の違い

懲戒解雇と重責解雇は、ともに労働者を解雇する理由となる違いがありますが、その根拠や条件が異なります。

懲戒解雇とは

懲戒解雇は、労働者が業務上の規則や法令を重大に違反したり、会社の信用を損なう行為をした場合に行われる解雇です。

例えば、盗みや暴力、勤務中の過失や業務上の不正行為などが該当します。

懲戒解雇を行うためには、労働者の違反行為が明確であり、その行為が解雇に値するものであることが必要です。

また、解雇の手続きが適切に行われることも重要です。

懲戒解雇は労働者の違法行為や過失が重大であるため、直ちに解雇に至ることができます。

重責解雇とは

重責解雇は、労働者が業務において重大な過失や怠慢、能力不足などの理由で職務を適切に遂行できない場合に行われる解雇です。

重責解雇を行う際には、労働者が改善の機会を与えられたか、適切な教育や指導が行われたかなど、事前の改善措置が講じられていることが重要です。

重責解雇は、事前の改善措置や機会が与えられた後に労働者が改善できない場合に解雇に至ります。

重責解雇となるケース

重責解雇とは、重大な過失や不適切な行為が原因で、従業員が雇用主によって解雇されるケースを指します。以下にその例を挙げます。

過失による重責解雇

  • 業務上の過失: 従業員が過失により業務に大きな損害を与える場合。例えば、重要な取引先との契約に重大なミスを犯す、機密情報を誤って外部に漏洩するなど。
  • 安全規則の違反: 会社の安全規則を違反し、自身や他の従業員、取引先などに危害を与える行為。例えば、作業中に無許可で機器を操作し、事故を引き起こす。
  • 詐欺や横領:従業員が会社の資産や金銭を横領・詐取する場合。例えば、会社の経費を私的利用する、偽りの成果報告で報酬を不正受け取るなど。

不適切な行為による重責解雇

  • 嫌がらせ:職場でのパワハラ、セクハラ、いじめなどの嫌がらせ行為が原因で解雇される場合。
  • 勤務態度の悪化:遅刻や無断欠勤が繰り返されるなど、勤務態度が著しく悪い場合。また、業務への興味喪失や職場での不満を露骨に表現し、職場の雰囲気を悪化させる行為。
  • 企業秘密の漏洩:会社の機密情報を故意に漏らす、または競業他社に提供する行為。

法令違反による重責解雇

  • 刑事犯罪の実行: 窃盗、詐欺、暴力行為などの刑事犯罪を犯した場合。
  • 業務関連法令の違反: 会社の業務に関連する法令や規制を違反する行為。例えば、個人情報保護法や労働基準法に違反する行為が該当します。具体的には、顧客の個人情報を不適切に取り扱ったり、労働者の権利を侵害したりするケースが挙げられます。
  • 職場における薬物使用:職場での違法薬物の使用、所持、売買など、薬物関連の違法行為が発覚した場合。

雇用主への信用失墜による重責解雇

  • 虚偽の経歴や資格: 雇用時に虚偽の経歴や資格を提示し、雇用主から信用を失った場合。
  • 信用失墜を招くスキャンダル: 従業員のプライベートな行為が会社の評判や業績に悪影響を及ぼすスキャンダルを引き起こす場合。例えば、SNSでの不適切な発言や行為が原因で、会社が批判を受けるケース。

これらのケースは、従業員が重大な過失や不適切な行為を犯した場合に、雇用主によって重責解雇される事例です。

重責解雇は、従業員にとって大きな影響を及ぼすため、業務遂行時には適切な行動を心掛けることが重要です。また、雇用主は適切な解雇手続きを踏むことが求められます。

失業保険はいつから貰えるのか

通常、失業保険は申請から一定の猶予期間(通常は7日間)後に受給が開始されます。

懲戒解雇された場合は、「重責解雇」として認められてしまったら待機期間がプラス3か月間延長されることがあります。

これは、懲戒解雇が労働者自身の責任に基づくため、給付開始までに一定のペナルティが課せられることを意味します。

ただし、給付開始待機期間の延長は、必ずしも全ての懲戒解雇された労働者に適用されるわけではありません。

労働者が失業保険受給資格を有するかどうか、または給付開始待機期間が延長されるかどうかは、ハローワーク(公共職業安定所)によって判断されます。

受給資格の喪失:懲戒解雇された労働者が、失業保険の基本的な要件(加入期間、労働時間など)を満たしていても、解雇理由が特に悪質であると判断された場合、失業保険の受給資格を喪失することがあります。

失業保険の受取期間と金額はどう決まる?

失業保険の受給額と受給期間は、労働者の加入期間、年齢、雇用形態などに基づいて決定されます。以下に、受給額と受給期間に影響を与える主な要素を説明します。

要素説明
加入期間労働者が雇用保険に加入していた期間によって受給期間が決定されます。一定期間以上加入している必要があります。
年齢受給者の年齢によって、受給期間が異なります。年齢が高いほど受給期間が長くなる傾向があります。
雇用形態正社員、パートタイム、契約社員など、労働者の雇用形態によって受給額が変わる場合があります。全労働日数と労働時間も受給額に影響します。
賃金労働者の直近の賃金に基づいて失業保険の受給額が決定します。平均賃金の一定割合が支給されることが一般的です。
給付率労働者の賃金に対する給付率が受給額を決定する要素です。通常、最初の3ヶ月は受給率が高く、その後は徐々に下がっていきます。

給付開始後においては、懲戒解雇された労働者でも、通常の解雇された労働者と同様に、「受給期間」と「受給額」が決まります。これらは、労働者の加入期間や年齢、雇用形態などに基づいて計算されます。

具体的な受給期間

加入期間や年齢によって決定される受給期間の詳細は以下の通りです。

加入期間年齢受給期間
1年未満受給資格なし
1年以上2年未満44歳未満90日
1年以上2年未満45歳以上59歳未満120日
1年以上2年未満59歳以上90日
1年以上3年未満44歳未満120日
1年以上3年未満45歳以上59歳未満150日
1年以上3年未満59歳以上120日
3年以上44歳未満150日
3年以上45歳以上59歳未満180日
3年以上59歳以上150日
5年以上10年未満44歳未満180日
5年以上10年未満45歳以上59歳未満210日
5年以上10年未満59歳以上180日
10年以上20年未満44歳未満210日
10年以上20年未満45歳以上59歳未満240日
10年以上20年未満59歳以上210日
20年以上44歳未満240日
20年以上45歳以上59歳未満270日
20年以上59歳以上240日

金額の計算方法

具体例がないと分かりづらいので架空の人物を1人用意しました。

再生太郎さん

・年齢:40歳

・月給:30万円

・雇用期間:10年

※手当受給要件を満たしているものとします。

まず、基本手当の計算方法の手順について説明します。

STEP
賃金日額の算出(1日あたり平均でどのくらいの賃金だったのかを算出する)

再生太郎さんの直近6ヶ月間の賃金額を計算します。

離職前6ヶ月間に受け取った総賃金額÷180=賃金日額

月給30万円 × 6ヶ月÷180=1万円

STEP
基本手当日額を計算(1日あたりの受給額)

基本手当日額=賃金日額×45%~80%

賃金日額に支給率を乗じた金額が支給されます。支援率は年齢によって異なり、再生太郎さんの場合は40歳で賃金日額が10000円であるため60%です。

早見表を参考にしてください。とても見やすく分かりやすいです。

よって

10000円 × 60%=6,000円

6000円が基本手当日額です。

ただし、これは一例であり、支給額や支給期間は、個々の雇用状況や年齢によって異なります。

基本手当日額に受給期間を掛け合わせると基本手当の総支給額が計算できますよ。

再生太郎さんの場合は受給期間が「180日」だから
6000円×180日=108万円ってことですね。

 

失業保険をハローワークで手続きをする

失業保険の手続きは、ハローワークで行います。懲戒解雇で退職した人も同じ流れで手続きを行います。

以下の流れが手続きの手順です。

STEP
ハローワークで求職の申し込みをする。

手続きには以下のものが必要です。

  • 離職票
  • マイナンバーカード
  • 雇用保険被保険者証
  • 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 写真2枚(縦3cm×横2.5cm、正面上半身)
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
STEP
雇用保険説明会を受ける

申し込みから2週間ほど後に説明会が開催されます。雇用保険に関する説明会です。

STEP
失業の認定を受ける

ハローワークで失業の認定を受けて雇用保険受給資格者証を交付される。

1〜3を経て、認定後7日後に失業保険が振り込まれ受給開始となります。

認定から1週間後に受給できるので、実際はハローワークで求職の申し込みをした日から約1ヶ月はかかってしまいます。

重責解雇の場合は3ヶ月間のペナルティ期間があります。

また、懲戒解雇の場合でも、基本的な手続きは同じですが、解雇理由や違反行為に関する詳細な説明が求められることがあります。

手続きに要する期間や、受給資格の審査が厳しくなることがあります。

【再就職後】再就職手当ももらえる

失業保険を受給していた労働者が再就職した場合、一定の条件を満たすと、再就職手当が支給されます。

この手当は、労働者が再就職先で安定した勤務を維持することを支援するためのものです。

再就職手当は、通常、新たな職に就いてから3ヶ月以上経過した後に支給されます。ただし、懲戒解雇や重責解雇の場合、再就職手当の受給資格が認められないことがあります。

条件や審査基準によっては、再就職後の一定期間が経過し、勤務状況が良好であれば支給が認められることがあります。

懲戒解雇や重責解雇の場合、失業保険や再就職手当の受給に影響が出ることがあるため、労働者は適切な行動を心掛けることが重要です。

クビになっても忙しい状況なのは分かりますが、せめて手続きはめんどくさがらずに行かないと。

まとめ

失業保険や再就職手当は、労働者が次の職に就くまでの生活や職業訓練を支援する制度ですので、適切な情報を得て活用しましょう。

また、解雇された場合は、ハローワークや専門家に相談し、適切な手続きを行いましょう。

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