【事例あり】懲戒解雇とは?条件や注意点を分かりやすく解説

懲戒解雇とは、従業員が重大な過失や不正行為を犯した場合、雇用者が契約を打ち切ることです。即日に行うことも可能です。

この厳しい措置は、従業員が業務上の信頼や義務を大幅に破ってしまった際に、適用される場合があります。

本記事では、懲戒解雇処分をするための条件、注意点、事例を解説するとともに不当な解雇への対応策も合わせて紹介します。

また、懲戒解雇を受けた従業員が再就職をすることは果たして可能なのかどうかについても触れていきます。

結論は“可能”です。

目次

懲戒解雇とは?

懲戒解雇とは、従業員が重大な過失や不正行為を行った場合に、雇用者が労働契約を終了させることを指します。

例えば、仕事で大きな失敗をしたり、会社のルールに反したり、犯罪行為を行ったりした場合などが該当します。

大抵、就業規則に懲戒処分に関する記載がありますので、よく見ておくことをオススメします。

懲戒解雇は厳しい措置であり、懲戒措置の最も重いものとされています。したがって、会社はきちんとした理由と法的な手続きを踏む必要があります。

適切な懲戒解雇の過程を踏むことで、会社と従業員が法的な問題に巻き込まれるリスクを低減できます。

懲戒解雇を正当化させる5つの条件

懲戒解雇を適切に行うためには、次のようなの条件が満たされる必要があります。

条件が満たされずに懲戒解雇処分を決行してしまうと、後に労働者側から「不当な懲戒解雇だ!」と訴えられ、過去に裁判沙汰になる事例も発生していますので条件が満たされているかどうかを念入りに確認しましょう。

懲戒解雇をする側もされる側も重要な部分になりますよ。

重大な過失または不正行為

従業員が、業務上の信頼を損なう重大な過失や不正行為を犯していることが必要です。例えば、盗みや詐欺、極度の怠務、暴力行為、業務上の秘密の漏洩などが該当します。

明確な証拠

雇用者は、従業員の過失や不正行為を立証できる明確な証拠を持っている必要があります。曖昧な疑いや推測では懲戒解雇が認められません。

経緯の把握と対話

雇用者は、事実関係を徹底的に調査し、従業員に対して説明責任を果たすことが求められます。また、従業員に過失や不正行為の事実を認めさせるために、適切な対話を行うことが重要です。

適切な手続き

雇用者は、法律や労働協定、就業規則などで定められた懲戒手続きに従って行動する必要があります。手続きが不適切な場合、解雇は無効となることがあります。

懲戒措置の妥当性

懲戒解雇が、従業員の過失や不正行為に対して妥当かつ適切な措置であることを慎重に判断する必要があります。軽微な過失や初犯であれば、注意や戒告など軽い懲戒措置を検討するべきです。

これらの条件が満たされている場合に、懲戒解雇が適切とされます。これらが満たされない場合は不当な懲戒解雇処分となります。

懲戒解雇の事例

日本では数多くの懲戒解雇に関する事例がありますが、どれも従業員が重大な過ちを行なった場合に懲戒解雇となっています。

実際にメディアで報道されてしまっていることもあれば、報道に至らない場合もありますが、報道するかどうかは各メディアの考え方によるものなので過ちをして懲戒解雇処分を受けた従業員はどうすることもできません。

実際にあった懲戒解雇の事例を紹介します。

福岡県警察官の警察官

2019年に福岡県警察官が職務上の秘密を漏らした容疑で懲戒解雇されました。警察官は逮捕前に情報をTwitterに投稿し、秘密を明らかにしてしまいました。

某大手企業での会計不正事件

2015年、某大手企業では不正な会計処理が行われていたことが発覚しました。その後、複数の経営陣を懲戒解雇しました。このスキャンダルは、企業の経営責任と監査機能の不備を浮き彫りにしました。

飛行機の機内でのアルコール摂取

2018年に、某大手航空会社のパイロットが飛行前にアルコールを摂取し、航空法に違反したとして懲戒解雇されました。この事件は、航空業界におけるアルコール規制の強化を促しました。

医師の薬物使用

2019年、ある病院で働く医師が覚せい剤を使用し、法律に違反したことが発覚しました。この医師はその後、懲戒解雇されました。

教育者の不適切な行為

2016年、中学校教諭がいかがわしい映像の製造・所持の疑いで逮捕され、懲戒解雇されました。教育者としての職務に対する信頼を失ったため、解雇が決定されました。

企業のパワハラ問題

2017年、ある製薬会社で上司が部下に対して過度のパワハラを行い、部下が自殺に追い込まれる事件が発生しました。その後、企業は上司を懲戒解雇し、企業内でのパワハラ対策を強化しました。

懲戒解雇をする側の注意点

注意点を遵守し、慎重に懲戒解雇の過程を進めることで、法的リスクや紛争を最小限に抑えることができます。

懲戒解雇は重大な措置であり、従業員の人生に大きな影響を与えることがあるため、雇用者は責任を持って取り組む必要があります。

従業員を早く解雇したいからと言って闇雲に「懲戒解雇だ!」としてはいけません。そんなことをされた時には不当解雇だと訴えられてしまいます。

適切な懲戒措置がとられることで、会社の信頼性やルール遵守意識の向上にもつながります。

最終的には、公正で透明な懲戒解雇の過程が、雇用者と従業員双方にとって円滑な労働関係の維持や解消に資することになります。

懲戒解雇を行う側(雇用者)が注意すべき点は以下の通りです。

適切な調査

事実関係を把握し、従業員の過失や不正行為が実際に存在するかどうかを確認するため、適切な調査が必要です。調査過程で証拠を収集し、整理しておくことが重要です。

法令や規定の遵守

国や地域の労働法規、労働協定、会社の就業規則などの手続きや規定に従って行動することが求められます。これらを無視した場合、解雇が無効となることがあります。

従業員との対話

過失や不正行為の事実を従業員に伝え、説明責任を果たすことが重要です。従業員からの意見や主張も適切に受け止め、十分な機会を与えるようにしましょう。

解雇理由の明確化

懲戒解雇の理由を明確に示し、従業員に伝えることが必要です。曖昧な理由では、解雇が無効とされるリスクがあります。

懲戒措置の妥当性と公平性

過失や不正行為の程度に応じた妥当な懲戒措置を選択し、公平性を保つことが重要です。同じような事例がある場合、一貫性を持って対応することが求められます。

書面による記録

解雇通知や調査結果、従業員との対話の内容など、解雇に関わる一連の過程を書面に残しておくことが望ましいです。これにより、後々のトラブルや紛争が発生した際の証拠となります。

不当な懲戒解雇を受けた際の対処法

不当な懲戒解雇を受けた場合、以下の対処法を検討することができます。

よく心得ておくことは、不当解雇を受けた場合でも、とにかく冷静に状況を分析し、適切な対応を心掛けるのが重要です。

焦らず、専門家や信頼できる第三者と相談しながら、適切な解決策を模索しましょう。

自分でいくら考えても知識が無ければ答えは出ません。考えては思考がぐちゃぐちゃになっての繰り返しをする事になってしまいますよ。

だからこそ専門家や第三者に相談するのが大事なんです。僕も過去に2つの弁護士事務所に無料相談で問い合わせをして行ってきました。知識がある弁護士の言葉はとても説得力がありました。

内部的な解決

会社に対して誤解や事実誤認があることを指摘し、再考を求めます。上司や人事部門との対話や、社内の労働組合に相談することも選択肢の一つです。

法的相談

労働問題に詳しい弁護士や労働コンサルタントに相談し、専門家の意見を得ましょう。これにより、自身の権利や適切な対応方法を把握することができます。

労働審判・訴訟

不当解雇の取り消しや損害賠償を求めるために、労働審判や民事訴訟を起こすことを検討できます。ただし、訴訟は時間や費用がかかることもあるため、専門家と相談して判断しましょう。

労働相談窓口

労働局や労働基準監督署などの公的な労働相談窓口に相談し、適切なアドバイスや支援を受けることができます。場合によっては、労働局が仲介や調停に入ることもあります。

再就職の準備

不当解雇が取り消されるまでの期間、あるいは不当解雇が取り消されなかった場合を考慮し、再就職の準備を始めましょう。履歴書の作成や求人情報の収集、スキルアップのための勉強などを進めておくと良いでしょう。

懲戒解雇後に再就職は可能か?

懲戒解雇後に再就職することは可能です。

しかし、就職活動の難易度は解雇理由や個人のスキル、経験、求人市場の状況などによって異なります。

懲戒解雇が雇用履歴に記録されるため、新たな雇用者はその事実を知り、選考プロセスで慎重に判断することが予想されます。

懲戒解雇後の再就職は簡単ではないかもしれませんが、自己改善に努め、誠実な態度で取り組むことで、再就職のチャンスを掴むことができます。諦めないで挑戦し続けていく必要があります。

懲戒解雇と普通解雇の違い

懲戒解雇と普通解雇は、解雇の理由や条件が異なることから区別されます。

両者の違いは主に解雇の理由にあり、懲戒解雇が従業員の重大な過失や不正行為に起因するのに対し、普通解雇は経営や業務上の理由や従業員の能力不足が主な原因となります。

また、懲戒解雇は従業員に対する処分の一環であり、普通解雇は会社の事情によるものである点も異なります。

普通解雇とは

普通解雇は、従業員の過失や不正行為とは無関係に、経営上の理由や組織の再編、業績悪化、従業員の能力不足などによって行われる解雇です。

この場合、雇用者は解雇の理由を明確にし、適切な手続きを踏む必要があります。

また、雇用者は、従業員の再雇用や職種変更、他部門への異動など、解雇を避けるための努力義務があります。

普通解雇には、期間の定めのある雇用契約が満了する場合や、会社の業務上の都合による解雇が含まれます。

まとめ

懲戒解雇を行うためには厳しい条件があります。

条件が満たされなければ「不当な解雇」となり解雇する側の企業にもリスクがあるのです。

とはいえ、懲戒解雇が認められれば従業員は人生に大きな影響を受けるので本当なら避けたいところです。

懲戒解雇にはルールがあるということを頭の片隅に入れておいて、いざ自分が懲戒解雇されたときはこの記事を思い出してください。

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