僕はこれまでにオススメの職種で介護職を挙げています。
しかし「介護職はきつい」と世間的によく言われている現実が昔からありますがそれは今でも言われています。
しかし、どの部分がきついのかをよく分かっていない人が多く存在するのも事実です。
筆者も介護職に就く前は何がきつくてみんな「介護はきつい」と言っているのかよく分かっていませんでした。
そこで、本記事では介護職のきつい部分を現役の介護士が説明したいと思います。
僕について
- 業界経験約10年になる現役介護士
- 派遣介護士として勤務経験2年以上
- デイサービス、特養(従来型、ユニット型)、ショートステイ、有料老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅の勤務経験あり
介護職がきついと言われている理由(介護職のデメリット)
介護職がきついと世間的によく言われている理由(介護職としてのデメリット)は主に5つに分かれています。
それぞれの理由は、人が快適に仕事をしていく上での弊害となるものばかりで、ストレスが多く強くのしかかり「辛い」「もう嫌」「辞めたい」の思考に陥る危険があると筆者は感じています。
その5つの理由は以下の通りです。
- 人手不足が改善されない
- 他業種より給料が安い
- 身体的、精神的負担が多い
- 人間関係がきつい
- 夜勤ありのシフト制が身体へ負担をかける
これら「介護職がきついと言われている理由」についてひとつひとつ詳しく解説していきます。
中にはこれらのきつい点が少ないあるいは無い介護現場もありますが、僕が何十と出会った職場の中でそういった職場はやはり職員の表情と仕事への満足度が高い印象がありました。
人手不足が改善されない
人手不足は介護業界全体にとって大きな問題であり、その背景にはいくつかの要因が絡み合っています。
まず、介護の労働環境は厳しいとされていて過酷な労働条件や低賃金が問題となっています。
これが多くの人に介護業界に進むことをためらう原因となっており、筆者も新卒の頃は大変な思いをしながら仕事をこなしていたものです。
そのため、今も人手不足が続いています。
また、今後は少子高齢化に伴ってますます人口の高齢化が進行し、介護が必要となる人々の数が増えています。
これにより、既存の介護職員だけでは対応できないほどのニーズが発生します。
人手不足が改善されるためには、介護の職場環境の改善や、AIなどの新たな技術への対応、社会全体の理解と協力が必要となるのは間違いありません。
人手不足の問題を抱えて続けている介護業界。少子高齢化が加速する未来が昔から言われていたのにも関わらずいまだに問題として根強く残っているのは「問題」を通り越していますね。
人手不足とはいうものの実際のところは?
筆者の経験則からですが、人手不足に陥っていない介護施設には決まった特徴を持つ場合が多いです。
今から示す3つの取り組みを通じて、一部の介護施設は人手不足の問題を克服しています。
1.労働環境が整っている
介護職は身体的、精神的に負担が大きい仕事です。
しかし、人手不足に悩まない施設では、職員の健康と安全を最優先に考え、十分な休息時間を確保したり、ストレス対策を行ったりすることで、働きやすい環境を作っています。
例えば、職場内のカウンセリングです。
筆者が務めたことがある介護施設でカウンセラーがいたのは2件だけです。割合で見たら1割以下です。
しかし、このような介護施設では職員のケアもこまめに行っている証になるので職員が安心できるための環境があります。
よって職員の定着率が高い状態を保てます。
他にも仕事から解放される感覚になる食堂を備えていたり、ケアとは関係ない業務を外部の業者に依頼していたり例を挙げると沢山出てきます。
2.研修の質が良く、職員を育てる意識が強い
人手不足に陥っていない介護施設は、職員の専門性を高めるための教育と訓練に力を入れています。
これにより、職員は自分が価値ある仕事をしていると感じ、職場に満足感を感じることができます。
介護の仕事をしていてもやはり人を相手に仕事をするので、100%決まった正解がありません。
「これもあれも正解だし、これもあれも不正解だし」こんな世界で仕事をしています。
その中で自分のケア手段としての引き出しを増やし続けなければなりませんが、教育こそ重要な位置にあります。
職員同士でお互いを高め合える介護施設は職員の定着率が高くなります。
研修の数が多ければ多いほど職員の教育意識が高い介護施設ということです。僕は毎月研修がある介護施設に勤めたことがありますが、やはり辞める人が少なかったです。
3.労働者の声を尊重している
職員の意見や要望を尊重し、積極的に職場環境の改善に反映させることで、職員のモチベーションを高め、退職率を下げています。
職員の定着率が良い介護施設は意見箱を建物の誰もが分かりやすい場所に設置しています。
また、提出された意見を取り入れられるかどうか考える部署があります。
それによって意見の反映を早めていて、環境の改善を早く実現させています。
数年前に勤めていた介護施設には運営を手がける部署があり、その部署が意見箱の管理をしていました。服装はおしゃれでいかにも介護現場で仕事をするような格好ではありませんでした。パソコンも持ち歩いていましたから。しかし、そういう人たちがいるからこそ反映が早くて環境の改善に力を入れられるのです。
他業種より給料が安い
給料が安いのは介護職における現実の一つであり、人手不足の原因の一つともなっています。
介護は、高齢者や障害を持つ人々の生活を支える、社会にとって重要な仕事です。しかし、その重要性に比べて給与が低いと感じる人は多いのです。
昔も今も同じで給料の低さが目立っています。
介護職は専門性が高く、専門的な技術や知識が必要ですが、その価値が給与に十分に反映されていないという問題があります。
そして、公的な介護保険制度の制約により、介護施設の運営費用や人件費に上限があるため、給与アップが難しいという現状もあります。
これらの問題を解決するためには、介護の価値を再認識し、適切な報酬を確保することが求められます。
これには政策的な対策だけでなく、社会全体の意識改革が必要となるでしょう。
賃金アップの施策を打ち出さない限り、この「給料が低い」という問題は残り続けます。
給料が低いとはいうものの実際のところは?
介護職の年収は上がりつつありますが、年収500万円は普通に仕事をしていれば目指せます。
それよりも多く稼ぎたいのであれば新しいスキルを身につけて既にあるスキルと新しいそのスキルを使い、介護施設内において自分だけのポジションを獲得して年収を上げるか、副業をするかの2択です。
筆者は副業をすることによって「他業種より給料が低い」問題に向き合っていて、その問題を感じないで過ごせています。
副業やスキルを身につけることに関しては人によって価値観が違うので一概に副業が正解とは言い切れないと感じていますが、あくまで「年収をあげたいなら行動するしかない」と経験からの答えが導かれました。
身体的、精神的負担が多い
介護職における重大な課題であり、人手不足の一因となっています。
介護職は、利用者の生活全般を支える役割を果たしています。
これには、食事や入浴、移動の補助から、薬の管理、健康状態の観察までが含まれます。
これらの業務は物理的にきついだけでなく、利用者の体調や気持ちによっては、精神的にも大きなストレスとなります。
さらに、介護職は利用者とのコミュニケーションが重要な職業です。
しかし、認知症などの症状がある利用者とのコミュニケーションは困難であり、利用者の死や健康状態の悪化などに直面することもあります。
これらの経験は、精神的な負担となり、時には心身の健康を脅かすこともあります。
身体的、精神的負担が多いとはいうものの実際のところは?
身体的、精神的負担を改善するためには、労働環境の見直しや、職員のメンタルヘルスを支えるサポート体制の整備が求められます。
また、今後のAI時代は介護技術の進歩はもちろんのこと、介護ロボットの活用などにより、身体的な負担を減らすことも期待されています。
別の考え方をすると、介護施設の形態によって職員へかかる負担の質と量が変わります。
利用者数が少ない場所、人手不足に悩んでいない場所で働くと必然と職員一人当たりへかかる負担が少なくなり、身体的、精神的負担が変わります。休暇も取りやすく自分自身のケアも十分に行えます。
- 職員が活き活きとしていて活気がある
- 利用者数(居室の数)が少ない
こういった職場は身体的、精神的負担が軽い傾向があります。
人間関係がきつい
「人間関係がきつい」このフレーズは、介護職の厳しい現実を表しています。
介護現場は、多くの人々が協力してサービスを提供する場所です。
それは同僚の介護職員、看護師、(管理)栄養士、嘱託医、管理職、そして何よりも利用者とその家族です。
これら全ての人々と良好な関係を維持しなければならないのが、介護職に必要です。
特に同僚との人間関係は、特にシフト制の職場では重要となります。
同じ業務を担当する同僚との意見の不一致や、負担の分担についての不公平感は、職場内のストレスを増大させる要素となります。
同僚との人間関係が悪くて嫌になり辞めていく職員を沢山見ました。中には関係が悪すぎて仕事にもろに影響している人もいました。
また、利用者やその家族との関係もまた、介護職の大きな負担となり得ます。介護は非常に個人の生活に深く関わるサービスです。そのため、利用者や家族からの過剰な要求、理解の不足、またはコミュニケーションの困難さは、介護職の精神的負担を増加させる可能性があります。
利用者の家族の中には電話をした際に「今仕事中なんだよ。後にしてくれ」という人から「またやったんですか。うちの母が申し訳ありませんでした」というような人までいますので、時に家族への連絡をするのも億劫になる場合があります。
これらの問題を克服するためには、コミュニケーションスキルの向上、適切なトレーニング、そして職場のサポート体制の強化が求められます。
また、管理者からの適切な指導やフィードバック、そして働きやすい職場環境の創出も、人間関係のストレスを軽減するために重要な要素となります。
人間関係がきついとはいうものの実際のところは?
良好な人間関係は日々積極的に明るく関わっていきながら育まれるものです。
いつも明るい人と暗い人ではどちらと関わりたいと思いますか?明るい人ですよね?
人間関係で文句を言う人はネガティブな感情が相手に向いているのでそこに気がつきさえすれば人は変わることができます。
良い人間関係を築きたいのに「暗い」なんて最悪です。明るく振る舞い人間関係が良くなるとそもそも辞めようとは思わないのです。なぜならシンプルに楽しいからです。
人間関係が良いと人の価値観によりますが他にも良いことがあります。
どうしても女性社会である介護職の現場はイケメンが現れるとチヤホヤされます。
数多い女性の中に男性がポツンと存在する光景も日常茶飯事です。
美男がいれば、もちろん美女もいるのでよく職場恋愛に発展するという現象が起きます。
以下は職場恋愛について僕が実際に耳にしたことがある組み合わせです。僕も実際に経験しました。
- 介護士と介護士
- 介護士と看護師
- 介護士と栄養士
- 理学療法士と看護師
看護師の勤務先って病院のイメージが強いですが、実は病院だけではないんです。
夜勤ありのシフト制が体へ負担をかける
介護職は24時間365日のサービスが求められる業界であり、シフト制で夜勤や休日勤務が必要となることもあります。
これにより、休息不足やプライベートの時間が取れないという問題も生じています。
この問題は実際に起こります。特に夜勤をすると夜勤明けでしっかり休めなかったり、睡眠のリズムが崩れて寝坊してプライベートの計画も崩れたりする人も中にはいます。
夜勤ありのシフト制が体へ負担をかけるとはいうものの実際のところは?
週5平日の昼間のみの仕事ではなく、24時間シフト制なのでメリットもあります。
- 平日に休みを取りやすい
- 夜勤前に活動ができる
- 夜勤明けで午前からそのまま出かけられる(翌日は休み)
筆者はよく夜勤前に買い物に行ったり、夜勤明けに出かけています。
夜勤明けで昼間に睡眠時間を確保して、夜に車で旅行に行くなんてこともオススメします。(道路が空いてる、高速料金が割引される)
介護職としてのメリット
介護職には、その仕事の特性からくるいくつかのメリットがあります。
しかし、これらのメリットを実感するためには、介護職の厳しい現実、例えば低賃金や重労働、人間関係の難しさといった課題に対処する必要があります。
そのため、介護職を選ぶ際は自身の適性や求めるキャリアパスをよく考慮することが重要です。
社会貢献
介護職は、社会全体の高齢化という大きな課題に対して直接貢献することができます。自分の仕事が社会全体に影響を与えるという意識は、大きなやりがいとなります。
人間関係の深さ
介護職は、利用者と深い人間関係を築く機会があります。利用者の生活の一部を共有し、喜びや悲しみを共有することで、人間のつながりの深さを実感することができます。
スキルアップ
介護職は医療知識やコミュニケーションスキルなど、多方面のスキルを磨く機会があります。これらのスキルは、介護職の現場だけでなく、他の場面でも有用です。
安定した需要
高齢化社会が進む現在、介護職の需要は確実に増えています。したがって、介護職は比較的安定した雇用を見込むことができます。
勤務形態
介護は24時間365日必要とされるサービスであるため、多様な勤務形態が存在します。これにより、自分のライフスタイルや家庭の状況に合わせて働くことが可能です。
介護職としてのやりがいはある
確かに、介護職は上記で述べたような多くの「きつい」場面に直面しますが、それと同時に大きなやりがいも感じることができる職業です。
人々を支える喜び
介護職は、高齢者や障害を持つ人々の生活を直接支えるという、非常に重要な役割を果たします。自分の努力が誰かの生活の質を直接改善することを実感できるのは、他の職業でもなかなか得られない経験です。
人間関係の深さ
介護職は、利用者と深い人間関係を築く機会が無数にあります。生活の一部を共有し、喜びや悲しみを共有することで、人間のつながりの深さを実感することができます。
絶えず学ぶ機会
介護は、医療や心理学、コミュニケーションなど、様々な知識と技術を必要とします。このため、自己成長のための機会が豊富にあります。
チームワーク
介護はチームで行うものであり、同僚や他の専門家と協力して課題を解決することは、困難を乗り越えたときの大きな達成感を生み出します。
これら4つの要素は、介護職が困難な職業であると同時に非常にやりがいのある職業である理由です。
しかし、これらのやりがいを最大限に引き出すためには、適切な支援と労働環境が整備されることが重要です。
人手不足ではない介護施設はこれらのやりがいを体感しやすいと言えます。
介護職の大変なことランキング5選
5位 精神的にきつい
介護は患者との深い関わりが必要なため、その精神的な負担は少なからず存在します。
4位 身体的負担が大きい
特に腰痛は介護職員にとって一般的な問題で、長時間の立ち仕事や重いものを持つなどの身体的な負担が原因となります。
3位 有給が取りにくい
人手不足の影響で有給休暇を取得するのが困難な状況が存在します。(有給休暇は労働者の権利なので筆者はどんどん使っていました)
2位 仕事内容の割に賃金が少ない
介護は身体的、精神的に負担の大きい職業ながら、それに見合った賃金が得られないと感じる人が多いようです
1位 人手が足りない
介護施設では常に人手不足が問題となっており、これが他の問題、例えば有給休暇の取得困難や過度の身体的負担を引き起こす原因ともなっています。
無資格から介護職へなるには
研修を終えた後は、実際の介護施設やサービスで働くことをお勧めします。実務経験を積みながら知識を深めていき次のステップの「実務者研修」の受講に向けて備えていきます。
介護職員初任者研修の資格のみでは介護福祉士の国家試験を受験することができません。
未経験から介護福祉士国家試験を受験するためには、実務者研修の修了と試験実施年度の3/31までに実務経験3年以上(1,095日)かつ従事日数が540日以上必要です。
最後に介護福祉士の国家試験を受けます。これに合格すれば介護福祉士として認定されます。